通奏低音
コード表記法: ローマ数字分析 と混同なさらないように。
新しく通奏低音表記を加える
- 通奏低音を適用する音符を選択する。
- 通奏低音 のショートカットキーを押す。 既定値は Ctrl+G (Mac: Cmd+G)ですが、必要に応じ、環境設定: ショートカットキー で変更できます。
- '青い' 編集ボックスに必要なテキストを入力する。 (下記ご参照)
- 次のいずれかの方法を使います。:
- Space を押して次の音符に移動し、通奏低音の入力を続ける。 (もしくは、編集ボックスの外をクリックして、通奏低音の入力から抜ける。) 編集位置が次の音符に進むか、同じ譜表の残りの部分に通奏低音帝王を加えます。(中間の位置に移動したり、通奏低音のグループをより長くするには、 下の 長さ をご参照ください。)
- Shift+Space で、エディターを前の音符・休符に移動
- Tab でエディターを次の小節の最初に移動
- Shift+Tab で、エディターを前の小節の最初に移動
- Space を押して次の音符に移動し、通奏低音の入力を続ける。 (もしくは、編集ボックスの外をクリックして、通奏低音の入力から抜ける。) 編集位置が次の音符に進むか、同じ譜表の残りの部分に通奏低音帝王を加えます。(中間の位置に移動したり、通奏低音のグループをより長くするには、 下の 長さ をご参照ください。)
テキストフォーマット
数字
数字を直接入力します。複数の数字をグループとして積み重ねるには、文字を一つ一つ直接入力し、都度 Enter キーで積み重ねてゆきます。:
臨時記号
臨時記号は通常のキー操作で入力できます。:
入力 | タイプするのは: |
---|---|
ダブルフラット | bb |
フラット | b |
ナチュラル | h |
シャープ | # |
ダブルシャープ | ## |
これらの文字は、エディターを抜けた時点で本来の記号に自動的に変換されます。臨時記号は求められるスタイルに従い数字の前あるいは後ろ(3度の音を変化させる場合には、もちろん、3の数字が入るべき場所)に入力すれば、臨時記号は左あるいは右に "ぶら下がって" 表示されます。
合体記号
/ や + 付きの数字は \, / や + を数字の後ろに加える (合体接尾辞) ことで入力でき、エディターを抜ける時点で、適切な合体記号に変わります。:
組み込まれているフォントは、組み合わせをより一般的な形となるよう取り扱います。:
1+, 2+, 3+, 4+ の結果 (もしくは )
そして 5\, 6\, 7\, 8\, 9\ の結果は (もしくは )
/ は 5 とだけ組み合わすことができ、他のスラッシュ付き数字はクエスチョンマークと組合すということを、覚えておいてください。
+ は数字の前にも使えます。その場合には合体されるのではなく、そのまま数字の左にぶら下がった表示となります。
括弧
丸括弧 '(', ')' 角括弧 '[', ']' のどちらも、臨時記号、数字、継続線の前後に挿入できます。括弧を加えても、主となる文字の配置には影響しません。
注 : (1) エディターは、括弧の始まりと終わり、丸か角かが適切に対になっているかはチェックしません。(2) 同じ行に多くの括弧があっても構文的には意味をなさず、入力された文字の適切な認識を阻害します。(3) 数字と付随する接尾辞 ('+', '\', '/') の間に括弧をいれることはできますが、記号の組み合わせ表示が崩れます。
継続線
継続線の入力は、その行の終わりに '_' (下線) を一つ加えます。グループ内の各数字に各々の継続線を設けることができます。:
継続線は通奏低音のグループが継続する全体長さに描かれます。
'拡張' 継続線
時に依り、コードディグリーが2つのグループを跨いで維持されなくてはならず、継続線を次のグループの継続線に続けたいことがあります。例 (両方とも J. Boismortier, Pièces de viole, op. 31, Paris 1730):
1つ目のケースは各グループには各々独自に継続線があります。
2つ目は、最初のグループの継続線が2つ目の "中 " に持ち込まれています。そうするには、最初のグループの文字行の終わりで下線 "__" を複数(2つ以上)入力します。
長さ
通奏低音のグループには長さがあり、その上に薄い灰色の線で表示されます。(もちろんこの線は情報用のみで、印刷されませんし PDF へもエクスポートされません。)
初期的には、グループはそれが付属する音符と同じ長さです。一つの音符に複数のグループを対応させたい場合や、グループを複数の音符に広げたい場合に、異なった長さが必要になります。
そうするには、下の表にあるキーの組み合わせで行い、(1) 表示された長さに編集ボックスを広げ、且つ,
(2) 前のグループの長さを、新たな編集ボックスの位置に設定します。
通奏低音の文字を入力することなく、それらのキー組み合わせを何度も押すと、前のグループを繰り返し延長させることができます。
Type: | to get: |
---|---|
Ctrl+1 | 1/64分音符 |
Ctrl+2 | 1/32分音符 |
Ctrl+3 | 1/16分音符 |
Ctrl+4 | 1/8分音符 (quaver) |
Ctrl+5 | 1/4分音符 (crochet) |
Ctrl+6 | 2分音符 (minim) |
Ctrl+7 | 全音符 (semibreve) |
Ctrl+8 | 倍全音符 (breve) |
(数字は、音符の長さと同じです。)
次の2つのケースでは、通奏低音グループの長さを正確に設定することが必須です。:
- 複数のグループが一つの音符に適応する場合(他に方法はありません)
- 継続線が用いられ、線の長さがグループの長さに依る場合
しかし、プラグインと MusicXML を念頭に、長さは常に所定の値に設定しておくのが実務的に良いでしょう。
既存の通奏低音の編集
既に入力された通奏低音の表示を編集するには:
- それ、あるいはそれが付属する音符を選択し、新規入力と同じ 通奏低音 のショートカットキーを押すか、
- それをダブルクリックします。
通常のテキスト編集ボックスが開き、単なる文字として表示されます (臨時記号は 'b', '#' や 'h' に、合体接尾辞は分離して、下線、など) が表示されます。
編集が終われば、Space を押して次の音符に移動して新たな入力をするか、編集ボックスの外をクリックしてそれを抜けます。
スタイル
通奏低音のありかたを設定するには、フォーマット → スタイル… → 通奏低音 を選びます。
-
フォント: ドロップダウンリストには通奏低音で使える全てのフォントが含まれています。標準インストールでは "MuseScore Figured Bass" の一つだけで、これが既定のフォントです。
-
サイズ: フォントのサイズをポイントで設定します。注: この値はスケーリング (フォーマット → ページの設定…) の変更、あるいは スケール ("譜表プロパティ") でも修正することができます。
-
垂直位置: 譜表の上から通奏低音のテキストの上側余白迄の (sp 値での) 距離です。負の数値であれば (譜表の上の通奏低音が) 上がり、正の数値であれば(譜表の下の通奏低音が)下がります。 (譜表の下の通奏低音: 譜表を超すには4より大きな数値が必要です。)
-
行の高さ: 各通奏低音のベースライン間距離です。: フォントサイズに対する% で表現します。
各数値パラメーターの関係を、次の図に表します。:
-
位置合わせ: 垂直方法の配置を選びます。: 上 Top であれば、上の線が主垂直位置に合わせられ、各グループはそれに "ぶら下がる" 形になります。 (これが通常の通奏低音記譜であって既定値です); 下 Bottom であれば、下の線が主垂直位置に合わせられ、各グループはその上に "座る" 形になります。 (ある種のハーモニー分析のための記譜で使われることがあります。):
-
スタイル: 現代 Modern / 古典 Historic__ ラジオボタンで合体記号の印刷上のスタイルを選びます。2つのスタイルの違いは、次の通りです。:
適切な構文
関連する代替方法と記号の組み合わせが効果を表し適切な配置となるには、通奏低音のテキストが次のルールに従うことが必要です。
- 臨時記号は前か後ろに一つだけ、あるいは一つの数字に接尾辞は一つだけ;
- 臨時記号と接尾辞の 同時使用 は不可;
- 数字の無い臨時記号(3度の音の変更)は可、しかし数字の無い接尾辞は不可;
- 上に表した文字以外は使用不可
これらルールに反した文字入力は処理の対象とはならず、あるがままに保存され表示されますが、レイアウトからは外れます。
キー操作のまとめ
Type: | to get: |
---|---|
Ctrl+G | 選択した音符に新しく通奏低音グループを加える |
Space | 編集ボックスを次の音へ進める |
Shift+Space | 編集ボックスを前の音へ進める |
Tab | 編集ボックスを次の小節に進める |
Shift+Tab | 編集ボックスを前の小節に進める |
Ctrl+1 | 編集ボックスを64分音符分進める、前のグループの長さの設定 |
Ctrl+2 | 編集ボックスを32分音符分進める、前のグループの長さの設定 |
Ctrl+3 | 編集ボックスを16分音符分進める、前のグループの長さの設定 |
Ctrl+4 | 編集ボックスを8分音符分進める、前のグループの長さの設定 |
Ctrl+5 | 編集ボックスを4分音符分進める、前のグループの長さの設定 |
Ctrl+6 | 編集ボックスを2分音符分進める、前のグループの長さの設定 |
Ctrl+7 | 編集ボックスを全音符 (semibreve) 分進める、前のグループの長さの設定 |
Ctrl+8 | 編集ボックスを倍全音符 (breve) 分進める、前のグループの長さの設定 |
Ctrl+Space | 実際の空白を挿入; 数字を "2行目に表示する" のに有益 (例 5 4 -> 3). |
B B | ダブルフラットを入力 |
B | フラットを入力 |
H | ナチュラルを入力 |
# | シャープを入力 |
# # | ダブルシャープを入力 |
_ | 継続線を入力 |
_ _ | 拡張継続線を入力 |
_注__: Mac でのコマンドは Ctrl に代え Cmd を使います。